移動式足場の勉強会を開催しました。
重松マンション管理士事務所では、かなりの数の大規模修繕工事コンサルティングをさせていただいていますが、過去の工事における仮設足場(直接仮設)については全て枠組足場でした。
最近、エレベーター式の移動足場の事例を聞くようになりましたが、たまたま事務所に業者の方が営業にいらっしゃったので無理をお願いして勉強会を開催することにしました。
当日の様子
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|事務所の近所に移動昇降式足場を使用している現場があったので、まずは見学をしました。|拡大写真です。このタイプは大型の足場で幅が30m以上あり、作業効率はかなり良いようです。|
今回ご協力いただいた会社はエスアールジータカミヤ株式会社で、移動昇降式足場の商品名は「リフトクライマー」です。
スペイン製とのことで、同社の商品は、あの有名なサグラダファミリアの工事にも使用されているそうです。
特長としては
- 足場の組立て・解体に要する工期が従来の足場の約半分
- 枠組足場の場合は、建物全面に足場とネットが設置されるので、景観が悪くなり居住者のストレスが増大するが、移動昇降式足場の場合は見通しが良いのでストレスがかからない。
- 足場を伝わって住居に侵入することが難しいので、工事中の防犯性が高い。
- ゴンドラと比較すると、風に強いので作業性が良い。
- 一般の枠組足場の使用高さは13~14階建までだが、大型のリフトクライマーは210m(小型は120m)まで設置可能なので超高層ビルにも対応可能
逆に今後検討するべき項目は
- 枠組足場と比較すると、コスト面で割高となる。(ただし、建物の形状によっては、かなりコストダウンが期待できるそうです。)
- 職人さんや現場監督の移動範囲が限られるため、工事チェック等の作業効率が悪くなる可能性がある。
等でしょうか。
現場見学の後は、市原市の機材センターに移動して実際に運転をする体験学習を行いました。
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|エスアールジータカミヤ市原センターの会議室での勉強会風景
この日は、移動昇降式足場の他に、次世代足場の勉強もしてきました。|小型のリフトクライマーを実際に操作してみました。|
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|これが次世代足場です。
身長180㎝近い飯田さんでも、頭を下げないで通行できます。
また、床の幅が広いことも特徴で、従来の足場と比較するとかなり作業性が向上しています。|事務所の前で、記念撮影!|
お誕生日会
当日は、たまたま私の65回目の誕生日でした。
勉強会に参加したスタッフが近くのお店で誕生会を企画してくれました。
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|参加は、私を含めて8名
途中から山本君と寺田さんが参加して盛り上がりました。
会費制で開催しましたがなぜか私も会費を徴収されています?
というよりも、会費が不足した分は私の負担で、どうしていつもこうなるのでしょうか?
みんなしっかりと飲んで食べてくれました。
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アルミサッシュの修理工事を実施しました。
2005年からお世話になっている南房総のリゾートマンション(約200戸)です。
第1回目の大規模修繕工事のコンサルティングをさせていただいたことをきっかけに、その後は理事会の日常運営のお手伝いとして顧問契約を締結していますが今年で10年目となります。
このマンションは、太平洋が目の前に控えており景観も抜群で、またサーフィンには絶好のスポットなのですが、海が近いだけに建具等の塩害対策等も考えておかねばなりません。
普通はアルミ製品はさびにくく、耐用年数も30年~35年あるといわれていますが、このマンションでは、第1回目の大規模修繕工事を実施した2005年からアルミサッシュの傷みが多く見られ、当時は表側の皿板が既に腐食して穴が開いている個所も見受けられました。
今年で、20年目となりましたが、多くの住戸でサッシュの不具合(動きが重たい、固着して動かなくなった)が見られるようになったので、戸車とクレセント錠を全部交換することにしました。
サッシュメーカーの統廃合もあり、このタイプの商品は既に生産中止で、部品の在庫もほとんどない状況だったのですが、メーカーと相談して何とか戸車とクレセントについて必要な数を集めていただきました。
本来は、カバー工法等で更新(取替え)をしたらよいとのアドバイスもあったのですが、20年目での更新は少し早すぎることや、資金的なことを考え今回はまず修繕を行い、5年くらいは延命させ、その後に更新を本格的に検討することとしました。
工事の様子
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|新旧の戸車
見た目だけでは傷み具合が分かりませんが、手にっとって見るとすり減っている様子などが分かります。|戸車は障子1枚について2か所
専門家だと2~3分で交換してしまいます。|
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|クレセントも全数交換しました。
このタイプのクレセントは障子の内部に棒が埋め込まれており、クレセントを回転させると棒が上下に動いて障子と枠を密着させる構造になっていました。|これは、障子の上部に取り付けてある「外れ止め」です。
この部品で、障子がレールから外れないように固定してあります。
障子を外す場合は、障子の小さな穴にピンを差し込んでばねを緩めて解除します。|
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|新旧「外れ止め」
プラスチックとバネが組み合わさった簡単な構造です。
昔、グリコのおまけにこんなのがあったような気がします。|修理が完了したら、部屋ごとに修理記録を作成し、交換部品も含めて履歴を保存しておきます。
サッシュ1か所(障子2枚)につき、作業時間は約20分でした。|
番外編
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|外房なので、マンションの前は太平洋
この日は天候の関係でサーファーは少なかったのですが、天気の良い日は多くのサーファーが海岸に出て楽しんでいます。|現場の立会いが早く終了したので勝浦の「ビッグひな祭り」を見てきました。
勝浦には10年間通っているのですが、今までは運悪く時期が合わずに拝見できませんでした。この日は初めて遭遇することができましたが、勝浦市内のいたるところでお雛様が飾られて活気がありました。
ここは、勝浦市役所のひな祭り会場です。|
区分所有法第59条競売控訴審の結果報告
区分所有法第59条の規定に基づく競売の裁判を昨年も数件実施しましたが、その中の1件が第1審で請求を棄却されたことは本ブログでご紹介した通りです。
そして、作戦を練り直して東京高等裁判所に控訴したこともご紹介していましたが、その判決が昨年12月に出ました。
結果は、「控訴棄却」いわゆる敗訴でした。その後弁護士さん経由で届いた判決文を読むと以下のとおりかなり厳しい判断をされています。
- 管理費等の長期滞納は区分所有法第6条に規定する「共同の利益に反する行為」といえるかもしれない。
- 戸数400戸を超えるマンションにおいて、70万円程度の滞納は、建物の管理上重大な支障には当たらない。
- 競売を実施しても「無剰余取消」になることが明らかであると主張して、実際に競売をやっていないことは、事実の主張・立証が不十分である。
上記のうち、「2」の判断については極めて不満です。マンションの管理運営に関する資金繰りという点では、そのマンションの戸数と滞納金額の関連性はあるかもしれません。
しかし、マンション管理組合は企業とは異なり、不良債権処理や債権放棄は基本的にはあり得ません。
ですから、理事会はマンションの戸数には関係なく、未収金はどんなことをしてでも回収する努力をしなければなりません。
一般的に、マンション管理に関する専門的知識のない組合員で構成される管理組合においては、滞納管理費等を回収するための労力は大変なものとなります。
そのため、管理組合が本来行うべき共用部分の維持管理や防犯・防災の業務に大きな支障をきたすことは、マンションの理事をやった方なら当然に理解できると思います。
また、「3」の判断についても同様だと思います。
長期にわたり滞納をしている人のマンション(不動産)は、多くの場合、金融機関の多額の抵当権が設定されていますので、抵当権の設定時期、設定金額、当該不動産の相場価格から判断すると、債務名義に基づいて強制競売を申し立てても無剰余になるかならないかは、容易に判断できます。
「実際に競売をやってみよ。」といわれても、実際にやった方ならお分りだと思いますが、大変な作業となりますし、予納金と登録免許税で60万円以上のお金を預託しなければなりません。
しかも、無剰余取消となった場合は、裁判所が調査に要した費用等は戻ってきませんので、そっくりそのまま管理組合の負担になります。
ですから「経験上、無剰余になります。」と主張しているわけです。
判決は、個々の裁判官の判断で行われるとはいえ、今回の判決は大変不服です。
管理組合としての対応
当初は、控訴が棄却されたら最高裁判所まで争う覚悟でいましたが、弁護士さんとも協議して管理組合は以下の対応をとることとしました。
- 判決文の内容から判断して、最高裁判所に上告しても審理してもらえる可能性が少ないと思われるので上告はあきらめる。
- 無剰余取消を覚悟の上で、実際に過去の債務名義に基づいて強制競売を申し立てる。
- その結果、無剰余取消となった場合は、あらためて臨時総会を開催し、再度59条による競売申立てを決議する。
以上の方針に基づいて実際に強制競売を申し立て、ようやく手続きが完了しました。
ざっとですが、競売の申立ては以下の手続きや書類が必要となります。
作成するもの
- 強制競売申立書
- 当事者目録
- 請求債権目録
- 物件目録
添付する主な資料(書類)等
- 相手の住民票
- 土地と建物の不動産登記事項証明書
- 公図
- 建物図面
- 地積測量図
- 案内図
その他必要なもの
- マンションの管理規約
- 管理者の資格証明書
- 競売予納金(今回は60万円)
- 登録免許税
このマンションは敷地が5筆に分かれているので作業の手間は結構かかりました。
先日「競売開始決定」の通知をいただき、これから手続きが始まります。
今後の展開についてはどのような進んでいくのか予想がつかない点もありますが、ご報告できることがあればまた書きたいと思います。
管理費等の滞納に関するセミナー講師をしました。
1月17日に開催された日本駐車場開発主催のマンション管理セミナーの講師を担当しました。
今回のテーマは「管理費等の滞納問題」で、サブタイトルは「弁護士さんにお願いする前にやっておくこと」です。
一般的に、管理費等の滞納問題については高度な法律問題が関係するため、講師の先生は弁護士さんが多く、その内容も法律関係や法的措置の手続き等が主となりがちです。
今回は、それ以前の問題として以下のようなテーマでお話しさせていただきました。
なお、一般的にはなかなか理解しがたいことだと思いますが、払えるのに払わない確信犯的なケースも意外に多く、一部にそのような悪質なケースを想定している部分がありますこと、ご理解いただければ幸いです。
- 管理費滞納の実態(平成25年度マンション総合調査から引用)
- 管理費等の滞納問題の特徴
- 管理費等の滞納が引き起こす問題点
- 理事会が取るべき具体的対策
- 法的措置をとるときの準備や考え方
- まとめ
・早いうちに対応しないと長期化しやすい
・長期化しやすく、再発しやすい
・理事の負担の増加
・早めの対応(法的措置含む)は、結果として滞納している本人のためになる場合もある
当日は、40名以上の方が参加され、熱心に聞いていらっしゃいましたのでこちらも緊張しました。
重松マンション管理士事務所でも、管理費等の滞納に関する相談事例は多く、困っていらっしゃる管理組合を多く見かけます。
問題がややこしくなってしまった場合はやはり弁護士さんにお願いするようなりますが、今回のセミナーでは、弁護士さんにお願いする前にやっておくべきことや管理費滞納に対する管理組合の心構えなどをお話ししましたが結構好評でした。
大規模修繕工事の足場解体前検査に立ち会いました。
管理組合が行う大規模修繕工事の検査には、中間検査や竣工検査等がありますが、最も重要な検査は「足場解体前検査」です。文字通り、足場が解体される前に足場に上って外壁やバルコニーの不具合等を確認する検査となります。
今回は足場解体前検査について少しお話させていただきます。
大規模修繕工事においては、外壁やバルコニーに関する工事が終了したら、直ちに外部足場の解体作業に入ります。理由は、以下のとおりです。
- ほとんどの工事会社は、外部足場についてはリース契約で使用しているため、不要になったら速やかに返却し、余計なコストをかけたくないこと。
- 外部足場や養生ネットは、居住者から見ると生活上鬱陶しいため、なるべく早くとってあげたいこと。
中間検査は、工事中の検査なので、その後にまだ対応する時間がたっぷりありますし、竣工検査は引渡前の検査で、管理組合が行う検査は、ある意味ではセレモニーに近い検査となります。
それに比べて、足場解体前検査は、外壁に関する工事が完了すると足場がなくなってしまいますので、どうしてもその前に検査をして、不具合があった場合は直ちに対応する必要があります。
技術面を主体とした専門的な検査は専門家がやってくれますので、管理組合が検査を行う場合のポイントは、「仕上りがきれいになっているか。」、「施工ムラがないか。」などを中心に見ていけばよいと思います。
この日は重松マンション管理士事務所が大規模修繕コンサルティングでお世話になっている東京のマンションで足場解体前検査が行われましたので、神奈川オフィスの横倉マネージャーと一緒に足場に上って検査を実施してきました。
当日の様子
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|神奈川オフィスの横倉啓子マネージャー
彼女も建築士資格を持っているので、足場に上ることには慣れています。
この日も、設計監理者と一緒に検査立会いです。|設計監理者から詳細説明を受けています。
私たちが気付きにくい点や見落としやすい点を具体的に説明してくれました。|
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|これは、タイル面の汚れが残っている個所です。
検査用のテープを貼って、手直し工事の対象であることが分かるようにしています。|検査の番外編です。
これは足場繋ぎ(壁繋ぎ)と呼ばれるもので、足場が倒れないように壁面から控えをとっています。
足場解体の作業と同時に取り除き、タイルを貼りなおして仕上げていく部分です。
足場の解体は鳶工(トビ)、タイルの修復はタイル職人が同時作業で進めていきますので、コンビネーションが大切な作業となります。|
区分所有法第59条競売のその後
以前のブログで「区分所有法第59条競売裁判の明暗」として2件の事例を紹介いたしましたが、1審で敗訴した裁判の控訴審での第1回口頭弁論が東京地方裁判所で行われました。
今回は弁護士を起用し「控訴趣意書」を作成してもらい1審で指摘を受けた棄却理由に反論する形で進めました。
具体的には、「原告は債務名義を取得しているにもかかわらず「強制競売」を行わず、勝手に「無剰余取消」を決め込んでいる、よって59条競売以外に問題解決の方法がないとはいえない。」といわれた部分です。
その部分については以下のような反論及び証拠を準備して臨みました。
当該住戸に設定された抵当権の対象となっている住宅ローンの残高については管理組合で把握することは困難であることの証明
弁護士から抵当権者(金融機関)に書面を送り、返済年数、金利、ローン残高を問合せ、書面で回答してほしいと通知しました。
予想通りではありますが、金融機関からは書面で「個人情報につき、回答できない。」旨の回答書が届きましたので、その書面を証拠として提出しました。
1審の裁判官が判断した「1,400万円の抵当権が設定されてから9年経過しているので、その全部又はほとんど消滅している可能性が高い。」という部分に対する反論
これについては、エクセルの関数の中に「ローン残高の算出方法」がありましたので、ローンの返済年数を35年、ローン金利を3.5%にして「元利均等」で返済した場合のシミュレーションをやってみました。
そうしたら、返済開始から9年たっても当初の1,400万円の残高は、1,100万円程度にしか減っていない計算結果となりましたのでその計算書を新たな証拠として提出しました。
返済年数やローン金利はあくまでも当方の推測ですが、金融機関が教えてくれないのでやむを得ないと主張しました。
債務名義に基づいて「強制競売」をしても、オーバーローン(マンションの競売価格よりもローン残高の方が多い状態)のため「無剰余取消」となることの証明について
お友達の不動産業者にお願いして「Reins」による当該マンションの取引価格を調査してもらいました。
そうしたら、意外に安く約700万円から850万円程度でした。これが競売になった場合の売却基準価格(最低入札金額)は、一般的には相場の70%位といわれていますので、500万円から600万円程度のはずです。
ですから、債務名義に基づいて強制競売を申し立てても基準価格は500~600万程度であるのに対し、その住戸についているローンの残高は1,000万円以上である。だから「無剰余取消」になることは明白であるという主張をしました。
当日の口頭弁論では、1審同様被告は欠席し、答弁書等の提出もなかったため、証拠調べと現状の確認が行われ約5分で弁論が終結しました。判決の言渡しは年内です。
控訴審の雰囲気からすると、今度は私たちが期待する判決がもらえそうな気がしましたが、弁護士は「余談は禁物です。裁判官によっては、1審の判決に明らかな違法性や不合理性がない場合はその判決を尊重する人もいる。」とのことでした。
また、ある情報によると控訴審で棄却される確率は80%程度だそうです。
つまり、1審で敗訴して控訴しても約80%は控訴審でも負けているということです。
しかしどう考えても、これで棄却されたら管理組合の運営は成り立ちません。今度の裁判官は正しい判断を下してくれると思いますが、万が一棄却された場合は最高裁に上告する予定です。
この裁判の成り行きについては年明けにまた報告させていただきます。
なお、この裁判と同時期に59条競売請求を申し立てたもう一つの裁判は、競売認容の判決を早々に頂いたので、判決確定後に直ちに競売の申立てを行い、競売開始決定を受け現在はたんたんと作業が進んでいます。
ペットの「しつけ教室」に参加してきました。

こんにちは。重松マンション管理士事務所アソシエイト・スタッフの山本です。
私が担当としてお世話になっている管理組合のイベントとしてペット「しつけ教室」が開催されたので参加してきました。
このマンションは、以前はペット禁止マンションでしたが、ペット飼育者と非飼育者の根気強い話し合いを経て管理規約の改正をへてペット解禁になったマンションです。
当時の経緯は2回のシリーズに分けて紹介していますので、それぞれ1回目と2回目をご覧くださればありがたいです。
この管理組合では、ペット飼育者で構成されたペットクラブが下部組織として存在し、今回私が参加させていただいた「しつけ教室」は、ペットクラブが主催し、費用面等を理事会が支援して実現したものです。
「しつけ教室」は公益社団法人日本愛玩動物協会の方を講師に招いて行われました。
内容は座学による講習に始まり、昼食を兼ねた個別相談会、実技によるしつけ教室でした。
参加者は約20名でペット飼育者はもちろん、ペットを飼育していない世帯の方も参加されており、マンション全体としての関心の高さを感じました。
こういったイベントを企画しペット飼育者同士はもちろん、ペットを飼育していない世帯も含めたマンション全体のコミュニティを築くことが大切であると感じた一日でした。
当日の様子
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|座学による講習では、そもそも「しつけとはどういうことか」など、改めて考えさせられる内容も多く勉強になりました。|昼食を兼ねた個別相談会も盛況でした。
ペット飼育における日常の疑問などを相談されてました。|
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|実技では実際にペット同伴で講習が行われました。
普段顔をあわせることのないペット同士が集まることになるので、私もドキドキしましたが皆いい子でした。
|「おすわり」や「お手」ができることが「しつけ」ではなく、多くの人やペットが集まる場所で大人しくしていられるというのが「しつけ」とのことでした。なるほど。|
久しぶりにセミナー講師を担当しました。
最近は業務が忙しいせいもあり、行政やマンション管理士会から依頼されるセミナー講師についてはお断りをしていましたが、たまたまスケジュールの調整がついたので講師をお引き受けすることにしました。
依頼元は、公益財団法人事東京都道路整備保全公社です。
マンション管理とは全く関係のなさそうな団体からの依頼で当初はびっくりしたのですが、計画道路のための用地買収等を行う団体だそうです。
事業を進める際に、ときどきマンションの敷地、建物及び附属施設等がその対象となることがあるので、マンション管理に携わる立場の人から話を聞きたいとのことでした。
参加者は、用地買収関係を主なお仕事としている公務員の方々となります。
私は、約12年のマンション管理士の経験の中で、クライアントが用地買収を受けたという経験がないので細かなイメージが分からないことや、そもそも用地買収の手順等も全く知りませんでしたので、私にとっては荷が重すぎると思い最初はお断りしました。
しかし、公社のご担当者が何回も私の事務所に来られて、セミナーの趣旨や用地買収の手順及びマンションの区分所有者と交渉する時の苦労話等を熱心にご説明いただきましたので、引き受けることにしました。
当日のセミナーのメインテーマは、「マンションの管理者側から見た用地取得」です。
マンション管理と用地取得は関係ないように感じますが、副題は「マンション管理組合とのじょうずな付き合い方」とし、「用地の取得=マンション敷地の提供」という事業を進めていくうえで、マンションの区分所有者や管理組合とどのように交渉していけば話がスムースに進んでいくかという点を主体にお話しさせていただきました。
また、第2部では「マンションの大規模修繕工事」をテーマに話をさせていただきました。
これは、用地取得の際にマンションの建物(マンションの一部や附属建物)が、計画ラインにかかっている場合には、建物の取り壊し等も関係するのでその際には取り壊しと当時に大規模修繕工事を検討することもあるとの理由からテーマにしました。
当日の様子
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|テーマは、「マンションの管理者側から見た用地取得」
私は、マンション管理組合という少し変わった特性をもった団体とお付き合いをするときのポイントを重点的に説明しました。
私が常日頃から申し上げているマンション管理組合の特性としては以下の通りです。
- 多額の資産を専門的知識に乏しい人たちで管理する。
- 意思決定にとても時間がかかる。
- 外部の有益な情報がなかなか入手できない。
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|この日はなんと200名近くの参加者でした。
このセミナーはシリーズものになっていて、今回は私で4回目のセミナーとのことでしたが、一番の盛況だったそうです。
私もかなり緊張しました。|
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|私はあまり自信がなかったのですが、結果は意外と好評だったようです。後日公社の方からアンケート結果や感想等を送っていただきましたが、それを読んでいるとだんだん恥ずかしくなり、電信柱があったら何処までも昇って行きたいような気分になってしまいました。
特にうれしかった感想としては、「期待していた内容だった。管理組合や区分所有者とハードな交渉をしていくには、信頼関係の構築が重要だということが良く理解できた。」というコメントでした。|
区分所有法第59条競売裁判の明暗
こんにちは。重松マンション管理士事務所所長の重松です。
ここの所、日常業務対応が忙しかったので、ホームページの更新がなかなかできませんでした。
今回は、私が実施した区分所有法第59条の規定に基づく競売請求裁判2件のうち、1件は請求通りの判決、もう1件は請求が棄却された判決となった事例をご紹介いたします。
現在私が区分所有法第25条の管理者としてお手伝いしているマンションは4件ありますが、ほぼ同じ時期に2件のマンションで区分所有法第59条による競売を許可してもらうための訴訟を提起しました。
競売請求を裁判所に申し立てる理由は、2件とも長期に渡る管理費等の滞納です。
滞納が長期になってきた場合、直ちに59条競売を申し立てることは普通は行いません。手順を経て督促を強化し、それでも改善しない場合はまずは通常の訴訟を行います。
ちなみに私の場合は、申立後の手続が比較的簡単な「通常訴訟」を行い、支払督促や少額訴訟はあまり利用しません。
通常裁判を経て「判決(債務名義)」を得たうえで、これを基に「強制執行」を実施しますが、それでも回収できない場合に区分所有法第59条の競売に進む手続きを行います。
ご存知の方も多いと思いますが、本裁判を申し立てるには総会を開催し、区分所有者及び議決権のそれぞれ4分の3の賛成が必要となります(特別決議)。
また、相手方には「弁明する機会」も与えなければなりませんので緻密な手順で進める必要があります。
私はこの裁判を20回近く経験していますが、敗訴したのは今回が初めてです。しかも欠席裁判であるにもかかわらずです。
前述のように手順をつくし、「この方法をもってしか管理費等の回収は不可能である。」ということを、自分なりには主張・立証したつもりだったのですが、今回の裁判官はそうは理解しなかったみたいです。
判決文を整理すると概ね以下のようになります。
前提事実について
被告が出頭しなかったのでいわゆる欠席裁判となり、以下の1~4については、被告がその事実を認めたものとみなされました。
- 被告がそのマンションの区分所有者であること
- 被告が多額の管理費等を滞納していること
- 被告の専有部分には、多額(1400万円)の抵当権がついていること
- 被告には弁明する機会が与えられたうえで、総会の特別決議が可決したこと
裁判所の判断
裁判所は、今回の請求が区分所有法第59条が認めるところの要件を満たしているかについて以下のような判断をしました。
被告の行為(管理費等の多額の滞納)が区分所有者の共同の利益に反する行為といえるか?
これについては、裁判申立当時の管理費等の滞納額(具体的には60万円以上)を引用し、「管理費等が遅滞なく納付されることを前提とする管理組合の運営に支障を及ぼすものとして、区分所有者の共同の利益に反する行為に当たると評価する余地も十分にあり得る。」としています。
区分所有者の共同生活上の利益の障害が著しいか?
これについては、「この程度の滞納額が管理組合運営に及ぼす支障が著しいと直ちに判断することができる程度に達しているといい難い。」と述べています。
このマンションは戸数が400戸を超えているのですが、「60万円程度の滞納では直ちに影響はないでしょ。」といっているようです。
他の方法によっては区分所有者の共同生活上の著しい障害を除去して区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難か?
この部分については特に厳しい見方をされました。今回の被告については、59条競売を申し立てる前に通常訴訟を申し立て、判決を得たうえで家賃差押の強制執行を実施しています。賃借人がいるときはその家賃を差押えることができたのですが、ある時期に賃借人が退去したため差押える対象がなくなりました。
つまり、被告は区分所有者になって以来一度も管理費等を払うことはなく、管理組合は何回も訴訟を提起したうえで、家賃差押という手段でどうにかこうにか未収金を回収してきました。
そして、賃借人が退去してからは回収する手段がなくなったので今回の59条競売訴訟に踏み切ったものです。
これに関し裁判長は、「債務名義を得ているのだからそれに基づいて「強制競売」をやればよいではないか。1400万円の抵当権が設定されたのは平成17年なので、9年もたてばその債権額の全部またはほとんどが弁済により消滅している可能性が高い。」と一方的に判断しています。
結論
以上のことから、被告の管理費等の滞納は区分所有法第59条1項の要件を満たしているとは認められないというものでした。
控訴手続き
理事会で協議した結果、地裁の裁判官の判断は、以下の通り到底納得のいくものではありませんでしたので、控訴することにしました。
また、控訴審の場合は裁判の内容も相当高度なものになると思われるので代理人として弁護士を起用して行うこととしました。
裁判長の判断のうち、納得できない部分は以下の2点通りです。
当マンションにおいて60万円程度の管理費の滞納が管理運営に直ちに支障を及ぼすとはいえないという点について
確かに400戸を超えるマンションにおいて60万円程度の滞納があったとしても、資金繰り等の面で見ると、管理運営ができなくなるということはありません。
しかし、マンション管理に携わった方ならだれでも理解できると思いますが、管理組合の資金繰りに直ちに影響を及ぼさないのであれば滞納に対して寛容であって良いということは全くありません。
管理費等の滞納については、滞納額の多寡、マンションの規模、管理組合の資金繰に与える影響に関係なく、それを回収するための管理組合の業務に大きな負担をもたらし、さらに区分所有者間の不公平を助長することを考えると、そのこと自体が大変な迷惑行為であり、「管理組合の運営に大きな支障を及ぼし、区分所有者の共同生活上の利益の障害が著しい」状態を作り出すといえると思います。
このことを控訴審でも強く訴えたいと思います。
59条競売を申し立てる前にとり得るべき方策をとっていないという点について
この指摘に対しては、私も多少反省するべきところがあります。
59条競売の前に、債務名義に基づく普通の「強制競売」をやってみて、その結果「無剰余取消」の処分を経たうえで59条競売裁判を申し立てると認めてもらえたかもしれません。
事前に強制競売を実施しなかった理由は以下の通りです。
- 予納金等を含めかなりのコストや手間がかかり、無剰余取消となった場合は既に費消した裁判所の調査費用等は管理組合に戻ってこないこと
- 本マンションには顧問として長期間かかわっており、マンションの不動産相場価格も把握できていること
- 想定金利と元利均等方式を考慮した場合、9年程度の弁済では元本がさほど減っていないことが容易に想定できること
- そもそも、抵当権者の銀行に債務残高を問い合わせても、教えてもらえないこと
今回の裁判長は、その程度の理由でオーバーローンになっていると決めつけるのは無理があると判断したようですので、控訴審ではエクセルを利用して作成した住宅ローンの想定残高表と知人の不動産屋さんにお願いしてREINSで調査した同じマンションの相場を証拠として提出予定です。
この件については、いずれ控訴審での審議が始まりますので、経過や結果はあらためてお知らせしたいと思います。
給水管・排水管更新(交換)工事の進め方とそのポイント~その2
前回に続き、給排水管更新工事に関してご紹介致しますが、今回は、実際のスケジュールに沿って、設計事務所作成の図面及び仕様書を基にした施工会社の募集・選定作業の部分から、各工程の具体的な内容とポイントをご説明致します。
なお、記事中で特に明記致しませんが、重松マンション管理士事務所は本工事のコンサルタントとして修繕委員会の立上げ後、長期修繕計画の全面見直しや修繕積立金の改定から関わり、工事完了までサポートさせて頂いております。
0.給排水管更新工事のスケジュール
1.工事業者の選定と管理規約の改正
2.工事概要説明会の開催
3.共通仮設工事と共有部分の給水管更新工事
4.全戸室内事前調査と室内工事テスト施工
5.室内工事説明会
6.各戸室内工事
7.工事完了後
8.まとめ
0.給排水管更新工事のスケジュール
|平成24年12月|設計概要説明会|
|平成25年1月|施工会社募集広告掲載|
|平成25年4月|施工会社内定|
|平成25年5月|通常総会で施工会社承認|
|平成25年6月|工事概要説明会、工事着工、共通仮設工事開始|
|平成25年8月|事前調査、室内工事テスト施工及び共用部分の給水管更新工事|
|平成25年8月〜9月|室内工事説明会|
|平成25年9月|室内工事開始|
|平成25年12月|室内工事終了、共通仮設撤去|
|平成26年1月|竣工図書引き渡し|
1.工事業者の選定と管理規約の改正
設計概要説明会は驚異の出席率92%!
このマンションでは、工事実施予定の3年程前に給排水管改修工事に向けた修繕委員会を立ち上げ、工事実施の必要性等について調査と検討を重ねると共に、折に触れ、漏水事故発生の事実や委員会の活動状況を広報紙で住民に知らせてきました。
その甲斐もあって、平成24年12月初めに2日間開催した「設計概要説明会(工事の必要性や工事内容のあらましを説明するためのもの)」は、全約300戸の92%が出席するという驚異的な数の住民参加を得て大成功のうちに実施出来ました。一般的な管理組合の総会の出席率が10〜30%程度であることはご覧の皆さんがよくご存知だと思いますが、それと比較すれば92%という数字がいかにすごいことかご理解頂けると思います。
施工会社の公募〜修繕委員会による選定作業
「設計概要説明会」の大成功を受けて、早速、修繕委員会では施工会社募集要項の検討に着手しました。
そして、昨年(平成25年)1月中旬に業界紙に施工会社募集広告を掲載し、以降、第一次・第二次・第三次の各選考手続きを経て4月中旬に施工会社1社を内定する運びとなりましたが、この間の手順及び留意点等は外壁や屋上防水等を実施する一般の大規模修繕工事(以下「大規模修繕工事」といいます。)の場合とほぼ同じであるため、説明を省略します。
通常総会を経て施工会社を決定〜着工へ
内定した施工会社には管理組合から内定通知を送ると共に工事の進め方等について非公式の打合せを行い、工事実施に向けた準備を進めて貰うことにしました。
そして、5月下旬開催の通常総会に、『専有部分の工事費用を修繕積立金から支出することができるようにするための管理規約の一部変更案』及び『工事発注先・発注金額・工事予備費等の一括承認案』を上程し、審議したところ、いずれも満場一致で承認されたため、いよいよ6月の着工に向けて動き出すことになりました。
専有部分も修繕積立金で工事をするため、管理規約を改正
専有部分である横引管の工事費用を修繕積立金から支出することについては、いろいろと議論があるところですが、個人負担で実施することにすると、改修が進まず、結局は漏水事故が多発するようになってしまいます。個人の費用負担なしに実施できることから、普通は反対する人はあまりいませんので、管理規約を改正せずに総会決議だけで進めてしまう場合もありますが、重松事務所のアドバイスもあり、この管理組合では、きちんと管理規約を改正して対応することにしました。
2.工事概要説明会の開催
工事開始に当たりまず一番初めに行うことは、施工会社による「工事概要説明会」の開催です。
ポイント具体的でわかりやすい資料づくり
そのため、施工会社が作成した素案を基に修繕委員会及び当事務所で3回に亘り修正作業を行いましたが、その結果出来上がった完成版は非常に見やすく解りやすい物になりました。
ポイント参加しやすい日程を用意する

また、当然今回も多数の住民に参加をして貰う必要があることから、住民が参加しやすいように配慮する必要があります。先の通常総会終了直後に開催案内を全戸配布すると共に出席票の回収を促進した結果、今回も出席率86%という極めて大勢の住民の参加が得られました。
それでは、その資料及び説明会の内容に基づいて、今回の工事の概要をご説明します。
3.共通仮設工事と共有部分の給水管更新工事
共通仮設工事
工事概要説明会終了後直ちに「共通仮設工事」が行われます。
これは、現場事務所・作業員詰所・資材置場・材料加工場・作業員用仮設トイレ・手洗い場・工事用掲示板・工事用ポスト・居住者用仮設トイレ等の各設置を行うものですが、今回の給排水管更新工事は作業員が住戸内に立入って作業を行うため住人が自宅のトイレを使用しにくい場合があることや、丸1日の断水が1度、短時間の断水が2度それぞれ発生するためトイレを使用できない日時があることから、居住者用仮設トイレを敷地内に設置することがその特徴です。
共有部分の給水管更新工事
共通仮設工事が終了しますと、早速「共用部分の給水管更新工事」が約2ヶ月間に亘って行われることになります(300戸を超える大型団地であるため、これだけでも2ヶ月かかります)。
これは、各棟の1階床下ピット内と各階パイプシャフト内の給水管をそれぞれ新品に交換する工事ですが、既存の給水管が一時的に使用できなくなることから仮設の給水管を各住戸に設置してから工事を行うことがこの工事の特徴です。
4.全戸室内事前調査と室内工事テスト施工
上記の共用部分の給水管更新工事と並行して、全戸室内事前調査及び修繕委員宅数軒を対象とした室内工事テスト施工が行われます。
実は、この二つが今回の工事の命運を左右することにもなる極めて重要な手続きになります。
全戸室内事前調査
まず、「全戸室内事前調査」ですが、これは今回の工事を計画通り進めるために予め各戸の室内調査を行い、室内工事内容の説明や工事日当日の在宅確認、浴室・洗面所・トイレ・台所・給湯器・物入れ等についてリフォームの有無や各器具の形状、天井・床の内装材の各確認をします。
しかし、これが実は非常に難問なのです!
と言いますのは、この事前調査を行うためには、300戸を超える全住戸を対象に施工会社の人が一軒ずつ訪問して室内に立入ることになりますが、当然、その調査日時にはその家の人に在宅していて貰う必要があります。この日程合わせが難しいのです。
この団地の場合、事前調査に約2ヶ月間を要することになっているのですが、工事概要説明会の資料中に施工会社が予め作成した各住戸の「事前調査日程表」が掲載されており、各戸にその都合の可否を専用用紙(「事前調査日程確認書(日時変更申込書兼用)」)にて調査予定日の1週間前までに届け出て貰うことにしました。
ところが、指定日時では都合が悪いため本来なら日時の変更申込みをしなければいけない人だけでなく、都合のよい人も含めてこの日程確認書を期限までに提出しない住戸があるのです。
そうなると”1週間前”という期限を過ぎた時点で戸別訪問をしたり電話をしたりして確認をしなければなりません。また、日程確認書を提出した人であっても、その日時に訪問してみると在宅しておらず、すっぽかされてしまう住戸もあるのです。そうなると、また連絡を取って調査日時を決め直さなければならないなど、大規模修繕工事の場合とは全く異なる手間と苦労が室内工事には存在するのです。
これがひとつ目の大きな関門です。
室内工事テスト施工
次に「室内工事テスト施工」のことですが、選出した数戸に対してリフォーム状況も踏まえて今回行う工事と全く同一内容の工事を試験的に行い、施工上の問題点を探ろうというものです。
このテスト施工の結果により、当初考えていた材料や施工方法、施工順序を一部変更することもあるなど、これまた今回の工事を成功させるための大きな鍵になります。
ポイント各戸の個別事情に合わせたきめ細かい対応を協議する
そこで洗い出される戸別の特徴とは例えば次のようなものです。
- 給水給湯管を既に更新済み、または一部更新済みという申告あり。
→ 実際に調査をしてその真偽を確認する。 - 配管工事終了後にリフォームを予定しているので、内装の仕上げは不要
- 風呂をユニットバスに交換済みの場合、その脱着の可否
※ユニットバスの場合、天井・壁・床を脱着出来れば配管をその裏側に隠すことが出来るため、配管が目に見えなくなる”隠蔽工法”を採用することが出来る - 浴室や台所のタイルが剥がれそうである。
- 台所の床がフローリング上にCF(クッションフロア)またはフロアータイルが貼られている。
※今回、管理組合では、フローリング仕上げを標準仕様としたため、表面に貼られている部材の取扱いが問題になる - 給水給湯の露出配管部に棚板や吊り戸棚等の障害物があるため、貫通工事を要する。
- 廊下物入れの建具が天井まであるため、建具加工が必要
- ガスコンベックの脱着が必要 等々
上記以外にも沢山ありますが、室内工事は正に各戸の個別事情に合わせた施工が要求されるため、きめの細かい対応が必要になります。
こんな点も大規模修繕工事とは全く様相が異なるところです。
5.室内工事説明会
以上の経過を経て、いよいよ今回の工事の主題である室内工事に着手することになりますが、先ずはその冒頭で例によって住民説明会を開催します。
住民にとって最も身近な内容を説明する場
説明会は既に2回行っていますが、今度の「室内工事説明会」が住民には最も身近で切実な内容になりますので、今回もその資料の内容には細心の注意を払いました。
そして、今回も出席率85%という非常に多数の住民参加を得ました。
6.各戸室内工事
第2の関門は、室内工事日程
室内工事を始める前に、当然各戸に具体的な日程を知らせるわけですが、実は、この工事日程確定版はとりわけ重要なものであり、円滑に工事を進めるためのふたつ目の大きな関門です。
その理由は、排水管の竪管は1階から5階の全住戸内を一本の配管が縦に貫通しているため、この竪管を更新する場合には1階から5階まで同時に工事を行うことになります。そのため、排水管更新工事の日には縦系列の全戸が在宅している必要があり、たとえ1戸でも不在のため入室出来ない住戸があると、5戸全部の工事が出来ないことになってしまうからです。
また、工事日当日に不在になることが判っている場合は、必ず事前に施工会社の責任者に相談をして貰うことを徹底しました。
それでは、当日の資料及び説明内容に沿って、室内工事の概要をご説明していきます。
工事内容
1 浴室・洗面・洗濯系統の排水管(竪管及び横引き管)の更新工事
台所とトイレの排水管はまだ交換時期ではないため、今回は更新しません。
そして、これらの工事期間中に丸1日の排水禁止が発生します。

2 水道メーターから衛生器具接続部までの給水・給湯管の更新工事
これらの工事期間中に丸1日の断水が発生します。
なお、上記「1」「2」に共通することですが、これらの工事に伴い、流し台・洗濯機・洗面化粧台の脱着や対象箇所の天井・床の解体・復旧・仕上げ工事を行うことになります。
▼廊下の壁・天井・クローゼットを解体している様子

工事工程
次に工程ですが、次のとおり1戸につき5日間の入室作業を行うため、全戸の工事を完了するには3ヶ月近くかかることになります。
|_. 2日目|排水管の更新|
|_. 3日目|給水・給湯管の更新|
|_. 4日目|天井・床の内装下地復旧|
|_. 5日目|天井・床の内装仕上げ|
工事手順
全戸の室内工事を計画通り行うためには、その手順等が非常に重要です。
1 室内工事日程を知らせる
まず初めに、確定した「室内工事日程表」により全戸に亘って住戸ごとの具体的な室内工事日程を知らせます。
2 工事内容の周知徹底
室内工事5日間の工事日程は前述の通りですが、更に1日ごとの詳しい作業内容、台所・洗面所・洗濯機・トイレ・浴室の使用可否状況、図と写真による解体復旧範囲などをそれぞれ周知します。
3 仕上げ材選定申込書の準備
天井と床を解体することから、復旧仕上げを行うにあたり仕上げ材をどうするかという問題が出てきます。
今回、管理組合では、原則として各戸解体時の既存材料に合わせて復旧することにしましたが、一部(浴室天井その他)は仕上げ材を統一的に指定すると共に、一部(洗面所天井)については、予め標準仕様の材料見本を10種類ほど選んで集会所に展示しておき、その中から好みの物を各戸に選んで貰うという方法を採用しました。
4 配管方法の意向確認
ユニットバス以外の在来型浴室の場合は、構造上、配管が隠蔽出来ず露出工事になってしまうため、その配管の仕方について3種類の工法を紹介して各戸の希望を取ることにしました。
5 室内の片付け要請
更に重要なこととして、住民には予め工事対象箇所の家具や小物の片付けをしておいて貰う必要があるため、片付け範囲を図と写真で細かく説明し、片づけを強く要請しました。
また、要請するだけでなく支援体制も作りました。こういうところも室内工事ならではの特徴的な点です。
6 緊急連絡体制など

▲緊急連絡体制夜間・休日に漏水事故等が発生したときのため、施工会社の緊急連絡体制もきちんと整えて貰いました。
また、室内工事期間中は傷防止や汚れ防止のため床に3層の養生シートが敷かれたままになりますが、一番上のシートについては毎日取り替えるなど細かい配慮もなされています。
本当は一つ一つもっと詳しくご紹介したいところですが、大まかなところはご理解頂けるのではないかと思います。
文字だけで見ると簡単そうに見えますが、なにせ300戸を超す団地型マンションの全戸が対象になるため、実際のこれらの対応には私も含めて非常に気を遣いました。
7.工事完了後
9月中旬に始まった室内工事も、住民の皆さんの協力と修繕委員会の精力的な活動及び理事会の支援を得て、12月上旬に無事に全戸の工事が完了しました。
思えば、今回の工事を行うためにワーキンググループ及び修繕委員会を組織して以来、3年半の年月を経て漸く目的が達成されたことになります。
そして、室内工事完了後は、共用給水管の保温工事の残りや雑補修工事、工事後アンケート対応、現場事務所等の共通仮設撤去等が行われ、遂にクリスマスの翌日に全てが完全に終了致しました。
7ヶ月間に亘ったあの喧騒が、今はまるで嘘のような静けさです。
あとは、施工会社に竣工図書を作成して貰い、1月末に引き渡しを受けるだけです。
8.まとめ
以上、室内工事主体の給排水管改修工事の特徴を説明させて頂きましたが、屋上防水・外壁塗装・鉄部塗装等を中心とした大規模修繕工事とはその様相が大きく異なることがお解り頂けたことと思います。
給排水管更新工事の重要なポイントは前回の記事でご紹介させて頂きましたが、大切なことですので、もう一度それぞれを補足しながらまとめさせて頂きます。
1工事を成功に導く「2つの会議」〜定例会議と修繕委員会
実は、この定例会議の役割は非常に重要なものであり、工事を進めるにあたって日々起こる色々な問題について全員でその状況を把握すると共に、判断を要するものについてはその都度迅速に決断をしていくという機関になります。
そして、4者定例会議で日々起こる細かいことについて迅速に対応を行うと共に、修繕委員会には定例会議の内容を報告し、重要事項について判断・決議を行うという形で進めてきました。
今回の工事が順調に推移したのも、この2つの会議があったからこそです。
2不公平をなくし、円滑に進めるための「きめ細かい配慮と準備」
そのために、室内工事を行うにあたり想定される種々の状況・現象について、予め管理組合としてその対応方法を決めておくことが必要になります。
なぜなら、問題が起きた時に場当たり的な対応になってしまい、結果として住民間に不公平・不公正な状態が発生してしまうことにもなるからです。
たとえば次のような事例です。
- 内装材を管理組合の指定した標準品よりも上質の物を使用したい
- 工事期間中に在宅出来ない
- 鍵を預けて貰えなかったり、事前連絡もなく突然不在になったりして、予定日に施工できない
- 工事実施に非協力的なため、他住戸に支障が発生してしまう
今回の場合は、工事開始の1年近く前からこれらの検討に入り、その後施工会社から提出された「室内工事に関わる事項確認書」も踏まえ、全部で40〜50項目について一つ一つその取扱いを協議しました。
こうしたことも今回の工事が混乱なく終了した大きな理由だと言えます。
3何としても必要な「努力と誠実さ」
住民に工事の意義を理解して貰い、管理組合や施工会社から依頼・指示されたこと(例えば、事前調査時及び工事実施時の在宅、家具類の片付け、排水禁止など)はきちんと実行して貰うといった協力がないと工事は円滑に実施できません。
そのためには、住民への広報や説明といった活動を丁寧に、かつ繰り返し行うと共に、それらに関する住民からの疑問や不安、質問に対して丁寧に答え、納得して貰うための努力と誠実さが理事会・修繕委員会側には何としても必要です。
このことも、工事を成功させる重要な点です。
現に、この団地の近隣2団地でも近年同様の工事が行われたそうですが、両団地とも何軒かの工事未実施(拒否宅を含む。)が出たということであり、300戸を超す当団地で一軒の未実施住戸が出なかったということに大きな驚きを持っていたようです。
◇
2回に渡る記事の中では、大規模修繕工事と似ている部分を割愛し、給排水管更新工事ならではの部分、特にプロセスを中心にご紹介してきました。
しかし、実際にはそれ以外に大規模修繕工事と同様に、予算の問題や設計事務所や施工会社の選定作業等があり、そのあたりの負担や注意点は同じようにあります。
重松マンション管理士事務所では、そうした初期段階から工事完了までをコンサルティング・サポートさせて頂きましたが、今回の工事が安価で良質かつ極めて順調・円滑に終わり、1月に執り行われた工事竣工セレモニーでは理事長から感謝状をいただいたことを最後に補足し、終わりとさせて頂きます。
よろしければ、こちらもご覧ください。
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