大規模修繕工事の工事説明会について
マンションの大規模修繕工事業者が決定すると、工事着工前に工事業者の主催で、工事説明会(住民説明会)が開催されます。
重松マンション管理士事務所でも、最近は大規模修繕工事のコンサルティング業務がとても多くなっているので、工事説明会の立ち会いや司会を務める機会も多くなっています。
今回は、大規模修繕工事には付き物の「着工前工事説明会」についてお話しします。
着工前工事説明会はなぜ必要か
マンションの大規模修繕工事が、一般の新築工事と違う一番大きな点は「人が住みながらの状態で工事が進んでいく。」ということです。
新築工事の場合は、現場にいる人はほとんどが専門家(プロ)です。工事もプロ同士の関係で、スムースに進めることが可能です。
ところが、マンションの大規模修繕工事の場合は、現場にいる工事関係者はプロですが、その何倍もの居住者(素人)が現場で生活しています。つまり、工事のことをよく理解できない居住者の生活に支障をきたさないようにして工事を進める必要があるわけです。大規模修繕工事の工事内容は、屋上防水や外壁の塗装工事のように、居住者にさほど影響を及ぼさないで実施できる工事もありますが、多くの場合は「騒音」、「ホコリ」、「匂い」の影響を受けます。
更に以下のような不便・不都合の制約を受けます。
- 外部足場から室内が丸見えになるのでプライバシーに対する不安がある。
- 外部足場を伝わって、泥棒等が入ってくる心配がある。
- バルコニーに、洗濯物を干せない日がある。
- エアコンを使えない日や、窓を開けられない日がある。
- 在宅が必要になり、外出できない日がある。
- etc…
工事期間は、マンションの規模によっても多少異なりますが概ね4~6か月です。
この期間において、上記のように生活に直結する不都合な期間が断続的に続きます。特に家事を行う女性にとっては深刻な問題にもなりかねません。
当然に、日常生活にストレスがかかることになり、それが高じて工事に対するクレーム等に発展する場合もあります。そうなると工事を一時ストップしてクレーム対策をとることになり、工事の進捗が遅れたり、場合によっては居住者の理解や協力が得られず、工事の出来栄え等にも大きく影響してきます。
十数年に1度、高額のお金をかけて行う大規模修繕工事ですから、やはり良い工事が出来た方が望ましいので、事前に工事の内容や住民に対する協力を要請する意味で実施するのが工事着工前説明会なのです。
工事着工前説明会の開催方法について
では、工事着工前説明会はどのようにして行うのでしょうか。
ここでは一般的な開催方法をご案内いたします。
説明会の主催は、工事会社になります。そして、説明をする対象は賃借人も含んだ全居住者です。工事期間中にさまざまな影響を受けるのは、居住者なので賃借人も対象になるのはお分かり頂けると思います。
なお、外部に居住している区分所有者はどうでしょうか。外部の区分所有者にもやはり説明会の開催案内を出して、参加を促す方が良いと思います。
工事の対象となるバルコニーに、区分所有者の所有物が置きっぱなしになっていることもあり、賃借人が勝手に処分したり移動できない場合も想定されます。
また、住戸が空家の状態になっている場合などは、工事の内容によって、バルコニーの片付けや玄関扉の開錠などの協力をしていただく必要もあるからです。
では、工事説明会は、どのような順番と内容で説明を行うのでしょうか?一般的な進め方について、工事説明会資料に基づき以下の通りご紹介します。
1.工事会社からのご挨拶
工事発注のお礼と代表者のご挨拶等、形式的な挨拶
2.工事概要の説明
工事名称、工事期間、設計監理者、施工会社、建物概要等の説明
3.工事管理体制その他の説明
大規模修繕工事の現場管理体制等が組織図等で説明されます。
また、工事時間や休憩時間、休日等に関する説明も行われます。
チラシを使った現場での連絡方法や居住者からの質問や苦情の受け入れに関する説明、また、事故等の緊急対応体制もここで説明されることが多いです。
4.工事期間中の防犯体制について
工事期間中は外部足場が仮設されますので、外部からの侵入がやりやすくなります。
そこで、防犯対策の説明や、補助錠の貸出等に関する説明があります。
5.居住者に対する協力要請について
工事期間中、居住者にお願いしなければならない事項を丁寧に説明します。
この協力が得られるかどうかによって、工事期間や工事の出来栄えが大きく変わってくる可能性があるからです。
バルコニー(ベランダ)の使用制限については、洗濯物干しの制限、片付け、エアコン室外機の移動、網戸の取り外し等が出てきます。
また、玄関扉の枠の塗装工事をするときにも、扉を開放して施工しますので、在宅をお願いすることになります。
居住者にとっては、特にストレスのかかるものばかりですので、その必要性をきちんと説明し、協力いただけなかった場合は、自分のマンションの資産価値が下がるだけでなく、他の住戸にも迷惑をかけることになること等を説明する必要があります。
6.オプション工事の案内
ベランダの片付け等に関しては、居住者の責任と負担でやっていただくことが前提ですが、居住者の事情によっては、個人で対応できない場合もあります。そのような場合は、工事会社に別途費用を支払ってやってもらうことになりますので、そのときの料金一覧表などを提示して予め周知しておく必要があります。
後でもめないためにも、予めその内容と金額をきちんと説明しておくことが重要になります。
典型的な例は、床に敷設したタイルやスノコの撤去、エアコンの撤去(ガスチャージを含む。)、パラボラアンテナの撤去などです。
但し、エアコン室外機については、冷媒配管ホースに余裕があるものや、天吊りタイプのもので、天井からの距離が一定以上あるものなどは、移動しないで工事できる場合もあります。
説明会や工事期間中に良く出る質問はどんな質問か
工事説明会は、工事会社が資料を配布して説明しますが、居住者側から出る質問等をQ&A方式にまとめてみました。
殆どは、説明会の中で説明しているはずなのですが、やはり気になると見えて同じような質問がいっぱい出てきます。
この時に、わかりやすく丁寧に回答することが重要です。主催者側の工事会社や理事会はうんざりすることもあるとは思いますが、間違っても「さっき説明したでしょう!」とならないようにお願いします。
作業時間は?
朝×○時から夕方×○時までです。日曜日と祝日は原則としてお休みですが、土曜日は工事を行います。
また、工事の進捗状況によっては、音の出ない工事を主体に、1時間程度残業することもあります。その場合は必ず事前にお知らせしますのでよろしくお願いいたします。
また、書類作成のため、現場代理人やスタッフが事務所で残業することもありますのでご了解ください。
洗濯ものはいつ干せるのですか?
工事期間によって、お部屋ごとに異なります。
洗濯物に関する情報は、前日の午後4時までに工事用掲示板に張り出しますので必ず確認をお願いいたします。
※最近は、工事専用のインターネットサイトでお知らせしている場合もあります。
エアコン室外機の取り外しが必要かどうかはだれが決めるのですか?
足場がかかったら、すべての住戸のバルコニーをチェックします。
その結果、移動が必要な室外機については、工事会社から書面等でご連絡いたします。
室外機の他、植木鉢の取り込みや床面の人工芝の撤去等もその際にお願いします。
室内に作業員が入ることはありますか?
原則として、お部屋の中に作業員が入ることはありません。
但し、オプション工事や網戸の取り外しのお手伝いをする場合は、玄関から専有部分を通って、バルコニーに入らせていただくことがあります。
工事期間中、私の借りている駐車場はそのまま使用できますか?
足場を掛ける足り、資材置き場を設置するため、利用しにくくなる駐車場や、移動をお願いしなければならなくなる駐車場が出てきます。
その場合は、事前にご連絡のうえ、代替駐車場を用意いたします。
工事期間中は、ご不便をおかけしますがご協力をお願いします。
バルコニーはいつごろ普通に利用できるようになるのですか?
壁の修理及び仕上げ、バルコニー床面の防水工事が完了し、お客様アンケートによる最終検査と手直しが完了したら、利用できるようになります.。
さいごに
いかがでしたか?
工事前の住民向け説明会は、丁寧にやりすぎて困るということはありません。
マンションによっては、土日の他に、平日の夜にも実施したリ、更には子供向けの説明会を開催する場合もあります。
このように、念には念を入れてやっておくと、工事が始まってからのクレームやトラブルは少なくなります。
大規模修繕工事を控えている管理組合の方は是非ご参考にしていただければ幸いです。
マンションの防災に関するセミナーのご案内です。
- セミナー名:MLCPフォーラムVol.1
- 開催日時:平成25年3月31日(日) 13:00~17:00
- 会場:日比谷図書文化館(大ホール)
- 参加費:1,000円(資料代含む。)
CONTENTS
主催者あいさつ
- 三橋博巳 MLCP検討会座長/日本不動産学会会長
- 中島正弘 復興庁次官
- 山根弘美 高層住宅管理業協会会長
- 親泊 哲 日本マンション管理士連合会会長
- 飯田太郎 MLCP検討会事務局長
第1部(講演)
渋谷和久(内閣府大臣官房審議官)
「都市防災に欠かせないマンションの災害時自立」
刑部真弘(東京海洋大学教授)
「エネルギーとマンションコミュニティ」
第2部(パネルディスカッション)
刑部真弘(東京海洋大学教授)
亀井正樹(NPO小杉駅周辺エリアマネジメント)
渋谷和久(内閣府大臣官房審議官)
角田瑞彦(東京消防庁深川消防署長)
深田貴美子(武蔵野市議会議員)
吉野美幸(伊藤忠アーバンコミュニティ執行役員)
コーディネーター:鍵屋一(東京いのちのポータルサイト副理事長)
浦安市が推進する野良猫対策の地域猫セミナーに参加しました。
今回は、ペット問題ではなく「野良猫問題」をテーマにご紹介いたします。
顧問としてお世話になっている浦安の管理組合ですが、野良猫被害が多発して深刻化していました。
対策を検討していた理事会は、浦安市と協議して「地域猫」として対応することを検討し、総会に諮る準備のため、専門家に依頼してセミナーを開催してもらうことにしました。
今回は、このマンションを担当している当事務所スタッフの吉村マンション管理士がセミナーにも参加し記事を書きましたのでご紹介します。

こんにちは。重松マンション管理士事務所の吉村小都子(さとこ)です。
顧問としてお世話になっているマンションで行政と地域のボランティア員のみなさんによる、地域猫の説明会に参加させていただきました。
こちらのマンションでは、近年野良猫が、敷地内のあちらこちらに巣をつくり繁殖を繰り返すようになっていました。さらにここ1、2年は1階の住戸を中心として野良猫たちの糞、尿による被害(悪臭、害虫の発生)が起きるようになり、住民のみなさんを悩ませています。この問題に対し管理組合では、理事の皆様が様々な取り組みを行い、土壌の消毒や、防虫剤の設置などいろいろと工夫を凝らしたのですが、なかなか解決とまではいきませんでした。
その様な中、浦安市が積極的に取り組んでいる「地域猫」の話をある理事さんが聞きつけ、管理組合としても検討することになり、地域猫活動に参加されているボランティアの皆さんによる説明会を開催していただきました。こちらの地域猫活動は、浦安市が推進するもので、野良猫への避妊や去勢手術には市の助成制度などもあります。
行政と地域のボランティアの皆さん、そして何よりマンションの住民のみなさんの三者で協力し合い「飼い主のいない猫の管理」をするというものです。
説明会には、浦安市環境レンジャー課から4名、東京から「すみだ地域ねこの会」の代表、浦安市の地域猫愛護委員の方の参加による、活動内容の経緯説明、猫の習性を利用した対応の説明がありました。特に住民が様々な野良猫問題を解決するうえで大切なことは、猫の習性を学び対処することが有効であるとのことでした。例えば、砂場のような場所が好きなので、専用の砂トイレを設置することで、むやみにあちらこちらで糞をしなくなるなどです。
この日は冬の寒い一日でしたが、住民のみなさんは多数参加され、猫の習性に対しての質問が出るなど関心も高く、とても意義のある説明会でした。
本取組は、今年の総会に諮り、承認されれば管理組合として取り組むことになりますのでそのときは実際の状況などをまたご紹介したいと思います。
なお、当日使用したレジュメも参考までにご覧ください。
当日の様子
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|この日の出席者は、猫の被害を受けている居住者を中心に約20名
浦安市地域振興課の職員に来ていただき、野良猫の被害や地域ねこ活動の取り組み状況、助成制度等の説明を受けました。|
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|ボランティアの方たちから、猫の習性や捕獲方法等を説明していただきました。
私はどちらかというと「ワンちゃん」派なのですが、猫の習性に対する多くの誤解が分かり、すっきりしました。|
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|「すみだ地域ねこの会」から、講演に来ていただいた庄司さん
猫のトイレの設置方法等を詳しく説明してくださいました。
いま話題の東京スカイツリー方面からのお客様です。|