マンションの駐車場を外部の人に貸した場合の課税について
マンションによっては、駐車場が不足して仕方なく外部に駐車場を借りている場合もありますが、逆に駐車場に空きが多く、その対策に苦慮しているマンションもあります。
千葉市内にある私のマンションも、平成9年の竣工当時は駐車場を希望する人の方が多く、私も入居時には抽選で外れ、しばらく外部の駐車場を借りていました。
しかし先日確認したところ、外部3段式の機械式駐車場は6台中5台の空きがあるとのことです。
高齢化して車を使わなくなった家庭や、機械式駐車場には収納できないワンボックスタイプの車を購入し、外部の駐車場を契約する家庭が増えたからだと思います。
私のマンションでは当分契約者が増える見込みのないことから、機械式をやめて平置き式に改造する計画すら出ています。
また、近隣にいくらでも平置きの有料駐車場がありますので、マンション内の空いている駐車スペースをマンションに居住していない人に貸す計画もありません。
しかし、駅に近い団地などでは、空いている駐車スペースを、希望する外部の人に貸したい場合があります。
理由は、駐車場収入の確保です。
いままで私は、そのような相談を受けた場合は、以下のことを助言するようにしていました。
- 管理規約で、駐車場を外部の第三者に使用させることが可能となっているか。マンション標準管理規約単棟型第16条第2項では、総会の決議を経てマンションの敷地や共用部分等を第三者に使用させることができる規定があるが、その場合でも駐車場と専用使用部分は対象外となっているので、管理規約の改正が必要となる。
- 駐車場を外部の第三者に有料で使用させることは「収益事業」とみなされて課税の対象となる。また、従来の認識では、たとえ1台でも外部貸しを行うと、すべてが「収益事業」とみなされて、駐車場収入すべてが課税対象となる可能性がある。
- 賃借人等の区分所有者でない人に貸す場合は、滞納が発生した場合の債権回収の方法や契約解除があった場合の連絡等の実務において負担が大きくなる可能性がある。
等です。
ご存知の方も多いと思いますが、上記の課税について、今般国土交通省からの照会に応じて国税庁が正式に回答を出しました。
国土交通省の照会の概要は以下の通りです。
前提条件
- 駐車場を外部に貸し出す事業者は、マンションの管理組合又は管理組合法人
- 従来の契約先は、マンションに居住する組合員又は賃借人を対象とし、共済的事業として運営している。
- 駐車場の敷地は、組合員全員の共有
- 駐車場収入は、組合員に分配せずに管理費又は修繕積立金の一部に充当される。
照会した3つの事例
- ケース1:組合員と一般の外部者の区別なく、誰にでも同じ条件で貸し出す。よって、組合員を優先して運営する方法などは一切取らない場合
- ケース2:空き駐車場の募集は外部に対しても行うが、あくまでも組合員を優先に運営する。例えば区分所有者から新たに駐車場契約の希望があった場合は、現在契約している賃借人には、一定の猶予期間を設けた後スペースを明け渡してもらうなどのルールで運用する場合。
- ケース3:原則として外部への貸し出しは行っていないが、たまたま近所で道路工事等を行っている工事業者から工事期間中に限定して空き駐車場を有償で利用したい旨の申入れがあり、管理組合が了解して貸し出した場合。
上記の前提における照会事項
- ケース1の場合:駐車場の使用については、外部使用部分だけでなく、区分所有者の使用も含め、そのすべてが収益事業に該当する。
- ケース2:駐車場の使用については、外部への貸し出し部分のみが収益事業に該当する。
- ケース3:駐車場の使用については、区分所有者への使用のみならず、外部使用部分も含め、そのすべてが収益事業に該当しない。
以上の見解を質したところ、国税庁課税部長からは平成24年2月13日に以下の回答がありました。
回答内容
照会に関しては、照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見の通りで差し支えありません。
ただし、次のことを申し添えます。
- この文書回答は、ご照会に係る事実関係を前提とした一般的な回答ですので、個々の納税者が行う具体的な取引等に適用する場合においては、この回答内容と異なる課税関係が生ずることがあります。
- この回答内容は国税庁としての見解であり、個々の納税者の申告内容を拘束するものではありません。
課税されない理由としては、、、
マンション管理組合法人(法人でない場合も同様)は、自己財産の管理団体であり、その構成員(組合員)からの使用収益は基本的にその団体の共催事業であって、、構成員に収益を分配しない場合は、管理費等の割増金として取り扱われるため。
ポイントは
- 納税対象が公益法人であること。(法人でない場合もこれに準ずる。)
- その構成員が使用すること。
- その収入は、自己財産の維持管理に充当されること。(バルコニーや専用庭の使用料と同様)
以上となりますが、従来曖昧だった駐車場収入に対する課税に関しては、これで一応すっきりした形となりました。
詳細は国税庁のホームページに記載されています。
大規模修繕工事と共用部分リフォームローンについて
私のマンション管理士事務所が大規模修繕工事のコンサルティングでお世話になったあるマンションでは、「共用部分リフォームローン」の制度を利用し、住宅金融支援機構から大規模修繕工事の資金の一部を借り入れて工事を実施することにしました。
今回は、「共用部分リフォームローン」をご紹介いたします。
マンションの大規模修繕工事を実施する際には、普通は修繕積立金を取り崩してその資金に充てます。
ところが何らかの事情で、修繕積立金が不足している場合もあります。そのようなとき、管理組合としての対応にはいくつかの考え方があります。
- 工事を中止する。
- 工事を延期してお金がたまるまで待つ。
- どこかからお金を借りてきて、資金繰りをたてる。
一番目の「工事を中止する。」は、マンションの適正な維持管理の考え方に反し、大事な資産の価値を低下させてしまう恐れがあります。
二番目の「お金がたまるまで待つ。」は一つの考え方としては有効ですが、待っている間に建物の劣化が進行し、逆に余計な修繕費用がかさんだりすることもあります。
そこで今回は、三番目の「借入」について考えてみたいと思います。
大規模修繕工事のような計画修繕は事前にその内容と金額が概ね把握できているはずなので、それに合わせた資金計画を立て、必要な額の修繕積立金を積み立てているのが普通です。しかし、長期修繕計画がきちんと整備できていない場合や、当然行うべき修繕積立金の改定(値上げ)を怠っていた場合などには、資金不足が発生することがあります。
多くの管理組合を拝見していると、計画的に修繕工事を実施している管理組合の方が少なく、現在ある修繕積立金の範囲内でできる修繕工事を検討している場合が多く見られます。しかし、どうしても修繕を実施しなければならないときは外部からお金を借りて修繕を適正に実施するという手段もあります。
それが「共用部分リフォームローン」です。現在、このローンを積極的に実施している金融機関は、2つあり、1つは住宅金融支援機構、もう1つは三菱電機クレジットです。(ほかに東芝系のクレジット会社もやっているようです。)
2社とも多少の条件の違いなどはありますが内容・手続き等を以下簡単にご紹介します。
- 借入可能金額は、修繕工事費の80%又は、1住戸当たり150万円のどちらか低い方
- 毎月の返済額が、毎月積み立てる修繕積立金の80%以内であること
- 管理規約がマンション標準管理規約に沿って整備されていること
- 修繕積立金は、管理費と区分されて経理されていること
- 滞納が一定割合以下であること
等です。借入の申し込みを行うには、総会決議を行い、金融機関が指定する必要な書類を添付する必要があります。この手続きが結構やっかいです。特に住宅金融支援機構の場合は、公的機関ということもあり提出する書類の数が多く、またその記載方法も手間がかかります。しかし、金利は三菱電機クレジットが3%前後であるのに対し1.5%前後ときわめて安く(別途マンション管理センターの保証料がかかります。)人気が高いようです。
なお、借りたお金は当然返済する必要がありますが、最長で10年まで可能です。また、返済の原資は修繕積立金からになりますので、場合によっては修繕積立金の値上げが必要になることもあります。
以下の代表的な書類をご紹介しますが、その他に写真や図面等かなりの添付書類が必要になりますので、事前に住宅金融支援機構に相談して進めるのがよいと思います。
提出書類等
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|融資借入申込書とマンション管理センターに保証をしてもらうための保証委託契約申込書です。
いずれも記載例の書式がありますのでそれを見ながら記入することになります。
必要な事項を記入するお手伝いは重松マンション管理士事務所でも可能ですが、
理事長と会計監事の自署が必要ですし、理事長の場合は実印を押印してもらいます。|こちらは、申込前月における貸借対照表や区分所有状況報告書です。
滞納がある場合は、未収金明細書も必要になります。|
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|申し込み前月末の預金通帳の写しと、返済金額早見表です。
預金通帳のコピーは、該当するページの他に表紙とその裏面のコピーも必要です。
返済は、元利均等方式ですが、元金均等方式での返済も可能です。||
重松マンション管理士事務所開設10周年記念会を開催しました。
サラリーマンを少々早めに卒業して、重松マンション管理士事務所を設立したのは2013年1月でしたが、おかげさまで今年で10年目に入りました。
法人登記日の関係で重松事務所の創立記念日は3月7日にしてますので、この日に創立10周年の記念パーティを事務所で開催しました。
今考えてみると、初めは自宅の1部屋をマンション管理士事務所兼用の書斎としてスタートしたのですが、あっという間の10年だったような気がします。
独立直後はマンション管理士とマンション管理人の区別がつかない管理組合がまだまだ多く、私の方もマンション管理士の業務内容や管理組合とのかかわり方なども上手に説明できなかったことを思い出します。
その当時は、パソコンで作成した事務所のPRチラシを、早朝に家内と近所のマンションに配って歩いたこともありました。
皆様のおかげでお客様の数も少しずつ増え、2005年8月には自宅マンションの向かい側に賃貸事務所(約40㎡)を借りることができ、現在の副所長の小林さんがお手伝いに来てくれるようになりました。当時の小林さんはまだマンション管理士の受験生でした。
今年からは、さらに隣の部屋も借りるようになり、お客様が静かな雰囲気で相談できるようになりましたし、会議や勉強会も実施できるスペースを確保することができました。
これもすべて、お客様である管理組合の役員さんや重松事務所のスタッフそして黙って支援してくれた家内のおかげだと思っています。
現在は、スタッフの数も増え、業務提携しているマンション管理士さんもいてかなりの所帯になりましたが、独立したときの気持ちを忘れずにこれからも努力・精進していきたい思います。
当日の様子
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|10周年を知って、仲間のマンション管理士の大滝さんが記念のお花を贈ってくれました。|
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|お鍋担当は私です。
子供のころから重松家に伝わる「スープ炊き」は、鶏肉のつくねがメインの鍋料理ですが、これが絶品です。|
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|大阪出身の家内は、たこ焼き担当。
本日はたこパーからスタートです。|
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|串焼き担当は小林さん。
怪しげな手つきで。。。つまみ食い?|
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|身内スタッフだけでこじんまりやる予定でしたが、聞きつけた友人たちが飛び入り参加。
この日は、中村さん、榎本さん、片山さんが急きょ参加してくれました。|
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|吉村さんも加わって、女3人寄ればかしましい…|
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|夕方から始まったパーティーは約2時間。
お酒の量はふんだんで、結構飲みつかれているようです。|
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|家内と二人で10周年のサイン|
大規模修繕の設計仕様を決めるための調査・診断について
大規模修繕工事コンサルティングを受託している管理組合の建物簡易調査に立ち会ってきました。
大規模修繕工事を設計監理方式で実施する際には、設計業務を受託した設計事務所が業務の一部として必ず建物簡易診断(調査)を実施します。
調査から、設計予算決定までの手順はおおむね以下の通りです。
- 全戸を対象としたアンケートの実施
- アンケート結果の集計後に共用部分の現地調査及び特定の住戸のベランダ調査
- 調査結果の報告書のまとめ
- 報告会
- 大規模修繕工事の仕様の打ち合わせ
- 最終仕様及び設計価格(予算)の決定
大規模修繕工事は、多額の費用をかけて実施しますので、組合員に対する丁寧な広報活動が結構重要なポイントになると思います。
現在のマンションの傷み具合を調査して、必要な修繕工事を決定していくことになりますが、管理組合が考えている予算の問題や、居住者が希望している改善項目等をテーブルに乗せて一つずつ決定していく作業は結構やっかいなものですが、きちんと手順を踏んで進めることが肝要です。
私のマンション管理士事務所では、設計事務所が行うこのような作業状況をチェックして理事会に報告し、管理組合と設計事務所の円滑な連絡役も行います。
重松事務所とお付き合いのない設計事務所は、大規模修繕工事にマンション管理士が関与して事業を進めるやり方はあまり経験がないので、最初はあまりいい顔をしない場合が多いのですが、当事務所の立場や業務内容を理解した後は、逆に「マンション管理士事務所が間に入って管理組合と設計事務所の各種調整や連絡等をやってくれるのでありがたい。」という意見が多いようです。
当日の様子とその後の説明会等
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|事前のアンケート用紙です。
共用部分は、室外から確認できますが、ベランダ等の専用使用部分は外部から確認できませんので、全戸を対象としたアンケートを実施して、不具合点を居住者に確認してもらうシステムです。
当然ですが、アンケートの回収率が重要なポイントとなり、回収率が高い方がより詳細なデーターが集まります。
最低でも60%できれば80%以上が理想です。|アンケート回収後にいったん集計した後、今度は現地で共用部分等の調査を行います。
ベランダ等の専用使用部分に関しては立ち入り調査となりますが、希望者を優先して実施します。立ち入り調査の戸数は、特に規定はありませんが全体戸数の10%から15%程度が多いようです。
希望者だけで必要な戸数に達しない場合は、理事や専門委員の方にお願いして調査に協力してもらいます。|
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|ベランダの立ち入り調査の風景
事前アンケートで、不具合箇所の指摘があった部分を重点的に確認します。|調査結果は、細かく記録して設計仕様を決定するときの参考資料とします。
施工数量等は、図面が保管されていればかなり正確に算出することができますが、必要に応じて開口部の実寸法等もチェックします。|
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|これは、理事会で調査結果を確認している風景です。会議は重松事務所の会議室で行いました。
この後、「調査結果報告書」の形で居住者に対して説明会を開催するための準備作業となります。
アンケートに記載された居住者からの改善希望項目等もこの時に確認し、今回の大規模修繕工事で対応できるものやそうでないものなどの層別作業も行いました。|実際の説明会の資料です。
調査項目や部位ごとに劣化の状況をグラフ化して説明したりしています。
また、このマンションでは3.11の地震の被害状況も合わせて報告し、居住者の方には好評でした。|
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|診断結果報告会では、具体的に調査写真を交えて説明したほうが住民も理解しやすいと思います。|これは、設計仕様を決定するための基本設計資料です。
各部位ごとに、複数の方法で修繕工事を提案しています。これを受けて管理組合は、「予算」、「居住者の希望項目」、「優先順位」等を検討し、さらに「費用対効果」も含めて最終仕様を決定します。
右側の資料は、最終仕様と設計金額が記載された明細書でいわゆる「予算書」になります。|